生と性をめぐるささやかな冒険たち(2)

生と性をめぐるささやかな冒険たち(1) - 天使なんかじゃない より続きのポスト。(承前)「大阪、ミナミの高校生2」と「地域の物語」は互いに目配せしあったことは一切ないが、後者は前者の疑問に対する大人からのこたえであると同時に、さらなる問いか…

生と性をめぐるささやかな冒険たち(1)

ヘラヘラと笑う体育科の教員が木の棒にコンドームをつけた。私の高校時代の保健体育の授業についての、唯一の思い出。滑稽だ。テストでは女性器と男性器の部位の名称を記述させられた気がする。小学生だったとき、ある日、授業の時間に男子だけ外で遊んでき…

「うつくしい」ニッポンの「ふるさと」

舞台には、はじめからおわりまで音程のずれた「ふるさと」が流れていた。そんなことはないのだけれど、そんな気持ちにさせられる。相馬農業高等学校飯館校 演劇部「-サテライト仮想劇- いつか、その日に、」を観た。私たちには、そもそも絵に描いた「うつ…

私は、私のことばを取り戻す.

17歳。一度きりの一年。はじめての愛。はじめてのピアス。白みはじめた空を横目に、線路沿いの路地をお気に入りのチェスターコートのポケットに手を突っ込みながら、ずんずん歩く。低い冬の陽射しがキラキラと水たまりに乱反射している。吐く息も白かった。…

「わからない」ことを生きる.

私たちは、どれくらい世界をまだわかっていないのだろうか。あなたまでの距離はあと何マイルくらいの遠さにあるのだろうか。発達に特性のある学生さんから話をきく機会を幾度も持ってきた。彼ら/彼女たちと話をしていて、よく持ち出される「困り感」のひと…

「みえないもの」と共にあること.

1月、大阪の應典院を会場に「暮らしのクロニクル」という演劇ワークショップを実施しました。その総括、あるいは報告として参加者に送ったお礼のメールをここにも載せておきます。私がワークショップで感じたことや、思ったことなど。もちろん、その場で起き…

高校生のための文章教室<2>

前回は何かを「書く」ということ、それ自体の意味について考えてみたのだった。それから〈あなた〉には2週間くらい身辺のどんなことでもいいから、少しだけでも気がついたことや感じたことを思うままに書いてみて欲しいというお願いをした。〈あなた〉は何…

許すこと、許さないこと.

「暴力のシーンはみせるのかな」、と私が質問した。ワークショップ最終日。みんなのいえなかったこと、会えなかったひとのことを「手紙」に書いてもらった。ここでは、お互いの「手紙」を交換して場面をつくっているところ。私たちのグループの元へ届けられ…

高校生のための文章教室<1>

文章を「書く」ことが好きだ。私にとって「書く」ということは日常の中に当たり前のようにあることで、だから、おもしろいことも、学びのあることも無理に書こうとはおもわない。あえていえば、そのときどきに伝えたいことに、ぴったりとくることばをいつも…

希望に似たもの.

夜の池袋の街を歩く。凍えるような寒風に思わず、コートの襟をそばだてた。東京芸術劇場の前の広場には23時を過ぎてもたくさんのひとがいる。忘年会の帰りにみえるスーツに身を包んだ壮年の男性たち、華やいだ様子であたりで声をあげる学生らしい若い男女の…

「正しさ」の手前に存在すること.

家族に知られずにリストカットをする方法をきいた。どうしても死にたい気持ちが募ったときは、自分で自分の首をしめるのだという。テーブルの上のICレコーダーは録音中のまま、赤いランプが点っている。私は小さく頷くと淡々と話に耳を傾ける。 生きづらさを…

「かたる」ことと「なる」こと.

ことばにするということはおそろしい。あなたを好きだと思うことと、あなたに好きだということのあいだには無限の隔たりがある。 随分と前に、生き物は遺伝子の乗り物に過ぎないという言説が流行したことがあったけれども、同じように、もしかしたら、ひとは…

ふたば未来学園高等学校『数直線』をみた

アトリエヘリコプターでふたば未来学園高等学校演劇部の作品「数直線」をみた。 県立ふたば未来学園高等学校は2015年に開校したばかりの新設の中高一貫校だという。学校のパンフレットには雄弁な文字がおどる。「この地から未来創造」。でも、なんて皮肉な名…

声にならないものを声にする--地方と演劇(1)

「地方で演劇をすること」について考えます。長文です。 私は、ふだん東京に暮らしているので、東京の子どもたちと関わることが多いんだけど、彼らのことをみていて、環境としては恵まれているなあ、と思わずにはいられないことが多い。演劇だって、面白い公…

精華高校『大阪、ミナミの高校生』をみた

高校演劇サミット最終日、精華高校演劇部『大阪、ミナミの高校生』を観た。 日本における「子どもの貧困」は一人親家庭では50%をこえていて、DVの発生件数は警察が認知しているだけでも約6万3000件をこえており、厚労省の統計によれば、母子家庭の数は近年…

「おじさん」なんてきらいだ

以前Twitterに書いたことをまとめておこうと思います。 「おじさん」なんてきらいだ。 「おじさん」というのは、生きものとしての「おじさん」を指す言葉ではありません。何も私はエイジズムを吐きだそうとしているわけではない。ただ「おじさん」的あり方と…

何もかもが消えてしまうその日まで

ひとが亡くなったので、ブログをはじめることにした。